アコムへの過払い金返還請求ページで述べたように、アコムと交渉を進める中で、以下の事柄が争点となることが多くあります。
約定残債務が残っている状態で、支払いが滞った場合又はアコムに対し、ご依頼者様がご自身で判断されて支払条件の変更を申し出た場合、ご依頼者様とアコムとの間で「示談書」、「債務弁済契約書」といった合意書を作成されている場合が見受けられます。
合意書の名称如何に関わらず、内容としては、
第1項 借主は、アコムに対し、合意書作成時点で約定利率どおりの元金、利息、遅延損害金の支払債務があることを認める。
第2項 借主は、アコムに対し、第1項の債務を分割して平成◯年◯月以降、毎月◯日限り、計◯回に分割して支払う。
第3項 借主とアコムの間には、本合意書に定める他に何らの債権債務も存在しないことを相互に確認する。
旨が定められている例が多く見受けられます。合意書が作成されていた時点で利息制限法所定の利率に引き直し計算をすれば、過払いとなっているのであれば、合意書の内容どおりに支払う必要は本来ありません。
しかし、合意書が作成された時点で考えると、借主は、アコムからお金を借りている立場にあり、アコムとの関係では圧倒的に不利な立場にありますし、そもそも利息制限法所定の利率に引き直して計算するという発想自体がない例がほとんどです。アコムは、過払い請求に対し、この合意書の存在を主張し、合意書作成時点で過払い金が発生していたとしても合意書の作成により借主のアコムに対する過払い金の請求権も含め、アコムとの間の債権債務は合意書に定める内容どおり確定しているから、アコムには、過払い金の支払義務は無い旨の反論をしてきます。
合意書によって過払い請求が遮断されるかどうかという点についての裁判所の判断は分かれています。合意書の作成経緯、合意書が作成された当時の過払い金の金額、合意書作成時に借主が約定債務の一部免除を受けているかどうか(受けているとすればその金額)等の種々の事情を勘案しての総合的な判断が必要ですので、どちらの主張が認められるかは、事案、裁判所の判断によりけりといえます。
アコムと長期間に渡ってキャッシング取引を続けた場合、借主は、途中で完済し、しばらく期間が経ってから再度取引を再開する場合があります。途中で完済した際に、アコムとの契約を解約し、再度契約を締結して取引を再開している場合、又は、途中で完済してから再度取引を再開するまでの期間(以下、「空白期間」と言います。)が1年以上空いている場合には、アコムは完済の先後で過払い金の計算を個別に計算する計算方法(以下、「個別計算」と言います。これに対して、完済前後で過払い金の計算を区分せずに計算する方法を「一連計算」と言います。
日比谷ステーション法律事務所では、原則として一連計算の方法を採用し、過払い請求をします。)をしていきます。個別計算を採用すると、完済時点から過払い請求時点まで10年以上の期間が経過している場合、過払い金の請求権は、時効により消滅します(民法第167条第1項)。その結果、完済以前までに発生していた過払い金は請求できなくなりますので、回収できる過払い金は、減額します。
最近の裁判所の傾向としては、個別計算の主張を判断するにあたって
a 完済の前後を通じて借主が同一の基本契約に基づき借入及び弁済を継続してきたかどうか
b 解約手続きの有無(重要な考慮要素ですが、aと表裏の関係にあります。)
c 空白期間の大小
d 完済時にカードを返却し、再開時にカードを再発行しているかどうか
e 完済時の契約書の返還の有無
f その他諸般の事情
を総合考慮して判断しているように見受けられます。この要素の中でも特に重視されるのが、a(b)及びcです。任意交渉の段階では、完済時に解約している場合又は空白期間が1年以上空いている場合には、アコムは、必ず個別計算を主張しますので、一連計算による過払い金の回収を希望する場合には、訴訟提起が必要です。
アコムから開示される取引履歴は毎月の借入額や返済額はもちろん取引の方法及び取引の区分まで詳細に明示されています。
取引の方法とは、店頭窓口での取引か、ATMでの取引か、銀行振込での取引かといった分類です。取引の区分とは、貸付や入金といった出入金の分類だけでなく、契約、利率変更及び解約といった契約内容や契約そのものの効果に影響を与える事情まで表示しています。
計算方法が一連計算となるか個別計算となるかという争点を判断するにあたって重要な要素となる解約の有無や空白期間の大小も取引履歴を一読すれば判断できます。
アコムは、取引の分断及び示談書といった争点がない場合でも、支払日までの過払い利息を含めて請求金額が300万円を超える場合、必ず過払い利息部分の一部減額を主張してきます。
いかがでしたか?
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