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平成19年06月07日 最高裁判所第一小法廷 平成18(受)1887 解説

裁判情報

裁判 平成19年06月07日 最高裁判所第一小法廷 平成18(受)1887
争点 基本契約のない複数取引の場合の充当関係。
結論 カードの利用による継続的な金銭の貸付を予定した基本契約で過払い金が発生した場合,弁済当時他の借入金債務が存在しなければその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものか。
要旨 カードの利用による継続的な金銭の貸付を予定した基本契約が,同契約に基づく借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により過払い金が発生した場合には弁済当時他の借入金債務が存在しなければこれをその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいる。

事案の概要

貸金業者Yは,昭和63年6月ころ,Xとの間で,Xを会員とするクレジットカード会員契約(この契約には,金銭消費貸借契約に関する契約条項(以下「基本契約1」といいます。)が含まれていました。)を締結しました。Xは,基本契約1に基づく借入,弁済を平成16年1月31日まで繰り返しました。
また,Yは,平成3年12月ころ,Xとの間で,Xを会員とするローンカード契約(以下「基本契約2」)を締結しました。Xは,基本契約2に基づく借入,弁済を平成16年1月31日まで繰り返しました。
Xは,Yに対し,2つの基本契約に基づく債務の各弁済金のうち制限超過利息部分を元本充当した後の残額を不当利得返還請求権に基づき請求しました。

事案の概要

最高裁は,同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付とその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており,同契約には,毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日までの期間に応じて計算するなどの条項があって,これに基づく債務の弁済が借入金全体に対して行われるものと解されるという事情の下においては,上記基本契約は,同契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当であると判示しました。
すなわち,一つの基本契約内で利息制限法1条1項所定の制限利率を超える利息の弁済により発生した過払い金を,弁済当時存在しなかった同一基本契約内の新たな借入金債務に充当する旨の合意が同基本契約内に含まれていることを認めました。

考察

本件は,クレジットカードローン契約の事案ですが,本件で示された最高裁の考え方は,基本契約に基づき,継続的に貸付,返済が繰り返される金銭消費貸借契約で債務の返済が借入金の全体に対して及ぶと解される取引(いわゆる「リボルビング払い」方式等です。)についても及ぶと考えられます。
他方,本判決は,複数の基本契約が締結されている場合,一つの基本契約に基づく取引に係る借入金債務につき過払い金が発生した場合に,この過払い金が弁済当時存在していた別の基本契約に基づく系列の借入金債務,さらには,弁済当時には存在していなかったがその後発生した別の基本契約に基づく系列の借入金債務に充当されるかという点にまで及ぶものではありません。これらの点については,個別の事案における基本契約の合意をどう解釈するか,すなわち,異なる基本契約に係る借入金債務にまで充当することが合意されていたと認められるかが問題となります。
最一小判平成19年07月19日判決は,基本契約がなく,複数の貸付(各貸付方法と条件がほぼ同じであり,借換であると認定されました。)と返済が繰り返された事案ですが,各貸付は実質的に見て1個の連続した貸付取引である以上,各貸付に基づく借入金債務について制限超過部分を元本に充当し過払い金が発生した場合には当該過払い金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する合意を含んでいると判示しました。詳細は最高裁平成19年07月19日判決をご参照下さい。
また,最高裁平成20年01月18日判決は,第1の基本契約に基づき発生した過払い金を第2の基本契約に基づき発生した借入金債務に充当できるかという争点について,最高裁平成19年02月13日判決から示されている枠組みを維持しつつ,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引が事実上1個の連続した取引と評価できる場合には,充当合意の存在を認めることができると判示しました。詳細は,最高裁平成20年01月18日判決をご参照下さい。

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