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平成23年07月14日 最高裁判所第一小法廷 平成23(受)332 解説

裁判情報

裁判 平成23年07月14日 最高裁判所第一小法廷 平成23(受)332
争点

複数の異なる基本契約に基づく取引がなされた場合に,各取引に「当初の契約期間経過後も,当事者からの申出がない限り当該契約を2年間継続し,その後も同様とする」旨の定め(自動継続条項)があり,実際,各当事者から自動更新前に基本契約を打ち切る旨の申し入れがなされたと認めるべき事情がないとき,各基本契約に基づく取引の期間や各取引の間の期間を考慮することなく,当該自動継続条項を根拠として,各取引が一連のものとして継続していたとみることはできるか。

結論

4つの異なる基本契約に基づく各取引の間にそれぞれ約1年6か月,約2年2か月,約2年4か月の期間があるにもかかわらず,これらの期間を考慮することなく自動継続条項が置かれていることをもって各取引が事実上1個の連続した取引であるとし,先行する取引において発生した過払金を後に締結された基本契約に基づく取引に係る借入金債務に充当する旨の合意が存在したと判断することはできない。

問題点と判例の理解

過払金返還請求訴訟においては,継続した金銭消費貸借取引において時期を前後して複数の基本契約に基づく取引がある場合に,先行する基本契約に基づく取引により生じた過払金が,後に締結された基本契約に基づく取引による借入金債務に充当されるかどうか,という点がよく争われます。この争点を一般的に「取引の一連性」あるいは「取引の分断」の問題といいます。
取引を一連のものとして計算する場合と取引を分断して個別のものとして計算する場合とで発生する過払金が何倍も変わることもあるため,貸金業者側も従前から訴訟手続の中で多くの主張を行ってきている争点の一つです。

取引の一連性の争点に関して,最高裁平成20年01月18日判決(以下「平成20年判決」といいます。)は,上記のように複数の基本契約に基づく取引がある場合,「第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である」として基本契約が異なる場合には原則として取引が分断する旨判示するとともに,(1)異なる基本契約に基づく各取引の期間,(2)各取引の間の期間,(3)各取引における基本契約書の返還やカードの失効手続の有無,(4)各取引の間の貸主と借主の接触状況,(5)前の基本契約に基づく最終弁済後に次の基本契約が締結されるに至る経緯,(6)各取引における利率等の契約条件の異同等の複数の事情を考慮して,各取引が事実上1個の連続した取引であると評価することができる場合には取引の一連性を認める旨を示しています。

上記平成20年判決は,複数の基本契約が存在する場合であっても取引を一連計算することができる場合があることと一連計算の可否を考慮する際の要素を挙げましたが,そこで挙げられていた要素以外の事情が取引の一連性に影響を与えるかどうかについては判断されていなかったため,その後の裁判実務においても様々な角度から取引の一連性あるいは分断について主張が繰り返されてきました。
その中でも,基本契約に自動継続条項が規定されている場合については,たとえ消費者が一旦借入債務を完済したとしても,自動継続条項の効力により基本契約は更新が繰り返されるため,その後に締結され別個の基本契約に基づく取引も自動更新された従前と同一の基本契約に基づく取引であると考える余地があり,取引一連性をめぐる重要な争点の一つとされてきました。

本判決は,自動継続条項の存在から直ちに取引の一連性を認めることはできないとの結論を出しており,自動継続条項の存在は取引の一連性判断にあたって重要な要素ではないものと解釈されます。
本判決は消費者にとって有利な判断となるものではありませんでしたが,最高裁が取引の一連性判断において重視している要素が取引の事実上の側面(平成20年判決において,別個の基本契約に基づく取引の一体性及び過払金充当合意の有無を判断する際に考慮すべき要素として挙げられているもの等)であることが明確になったという面では意義を有しているものと考えます。
当事務所では,今後も消費者の利益を最大限保護するとの立場から積極的に過払金返還請求を行っていきます。

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