平成19年02月13日 最高裁判所第三小法廷 平成18(受)1187
争点 |
過払い金に付加する延滞利息は商事法定利率(年6%)か民法所定の利率(年5%)か。 |
結論 |
過払い金に付加する延滞利息の利率は年5%である。 |
裁判要旨 |
過払金についての不当利得返還請求権は、高利を制限して借主を保護する目的で設けられた利息制限法の規定によって発生する債権であって、営利性を考慮すべき債権ではないので、商行為によって生じたもの又はこれに準ずるものと解することはできないため、民法所定の利率(年5%)によるべきである。 |
全文 |
昭和39年11月18日 最高裁判所大法廷 昭和35(オ)1151 全文 |
平成19年07月13日 最高裁判所第二小法廷 平成17(受)1970
争点 |
利息制限法所定の制限を超えて利息を収受した貸金業者は過払い金につき民法704条の「悪意の受益者」といえるか。 |
結論 |
利息制限法所定の制限を超えて利息を収受した貸金業者は特段の事情のない限り民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。 |
裁判要旨 |
貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。 |
解説 |
平成19年07月13日 最高裁判所第二小法廷 平成17(受)1970の争点や結論に関する解説 |
全文 |
平成19年07月13日 最高裁判所第二小法廷 平成17(受)1970 全文 |
平成19年07月13日 最高裁判所第二小法廷 平成18(受)276
争点 |
貸金業者が、18条書面を交付しなくてもみなし弁済は適用されるものと認識していた場合、「特段の事情」があるとして「悪意の受益者」ではないといえるのではないか(利息5%を付加した金額を請求できないのではないか)。 |
結論 |
貸金業者が貸金業法18条1項の書面を交付しなくとも貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用があるとの認識を有していたとしても、「特段の事情」があり「悪意の受益者」ではないとはいえない。 |
裁判要旨 |
貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。そして、本件周辺事情のもとでは、このような認識につきやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえない。 |
全文 |
平成19年07月13日 最高裁判所第二小法廷 平成18(受)276 全文 |
平成19年07月17日 最高裁判所第三小法廷 平成18(受)1666
争点 |
貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用がない場合に、貸金業者が「悪意の受益者」ではないと認められる余地はあるか。 |
結論 |
貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用がない場合、当該貸金業者が同項の適用があると認識しており、かつそのような認識をするにつきやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り、「悪意の受益者」であると推定される。 |
裁判要旨 |
貸金業者は、貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用がない場合には、制限超過部分は貸付金の残元本があればこれに充当され、残元本が完済になった後の過払金は不当利得として借主に返還すべきものであることを十分に認識しているものというべきである。そうすると、貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。 |
全文 |
平成19年07月17日 最高裁判所第三小法廷 平成18(受)1666 全文 |
平成23年12月1日 最高裁判所第一小法廷 平成23(受)307
争点 |
貸金業者が17条書面として交付した書面に個々の貸付けの時点での最低返済金額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間、返済金額等の記載がなかった場合、貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用があると信じるにつき特段の事情があるといえるか。 |
結論 |
リボルビング方式の貸付けについて、17条書面として交付する書面に確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は、当該貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項(みなし弁済)の適用があると信じるにつき特段の事情があるとはいえず、当該貸金業者は「悪意の受益者」にあたる。 |
裁判要旨 |
リボルビング契約の場合、貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合には、平成17年12月15日の最高裁の判決以前であっても、悪意の受益者と推定される。 |
解説 |
平成23年12月1日 最高裁判所第一小法廷 平成23(受)307の争点や結論に関する解説 |
平成21年7月10日 最高裁第二小法廷 平成20(受)1728
平成21年7月14日 最高裁第二小法廷 平成20(受)1729
争点 |
平成18年1月13日第二小法廷判決・民集60巻1号1頁の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が期限の利益喪失特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することの可否。 |
結論 |
期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を否定した最高裁判所の判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできない。 |
裁判要旨 |
期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を初めて否定した最高裁平成16年(受)第1518号同18年1月13日第二小法廷判決・民集60巻1号1頁の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできない。 |
解説 |
平成21年7月10日 最高裁第二小法廷 平成20(受)1728と平成21年7月14日 最高裁第二小法廷 平成20(受)1729の争点や結論に関する解説 |