平成23年7月7日 最高裁判所第一小法廷 平成22(受)1784
平成23年7月8日 最高裁判所第二小法廷 平成22(受)1405
争点 |
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合における、借主と上記債権を譲渡した業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位の移転及び上記取引に係る過払金返還債務の承継の有無。 |
結論 |
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合、借主と上記債権を譲渡した業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が当然に移転する、または取引に係る過払金返還債務が承継するとはいえない。 |
裁判要旨 |
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において、上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは、上記合意の内容いかんにより、それが営業譲渡の性質を有するときであっても、借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する、あるいは、当該業者が上記取引に係る過払金返還債務を譲渡の対象に含まれる貸金債権と一体のものとして当然に承継すると解することはできない。 |
解説 |
平成23年7月7日 最高裁判所第一小法廷 平成22(受)1784と平成23年7月8日 最高裁判所第二小法廷 平成22(受)1405の争点や結論に関する解説 |
平成23年9月30日 最高裁判所第二小法廷 平成23(受)516
争点 |
プロミスはいわゆる「切替契約」によってクラヴィスの過払い金債務を承継したといえるか。 |
結論 |
プロミス(Y)とその完全子会社であるクラヴィス(A)の顧客Xとが、金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結するに当たり、YがXとの関係において、AのXに対する債権を承継するにとどまらず、AのXに対する債務についても全て引き受ける旨を合意したものと解される。 |
裁判要旨 |
貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが、金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結し、この際、Xが、Aとの継続的な金銭消費貸借取引における約定利息を前提とする残債務相当額をYから借り入れ、これをAに弁済してAとの取引を終了させた場合において、次の 1 ~ 3 など判示の事情の下では、XとYとは、上記基本契約の締結に当たり、Yが、Xとの関係において、Aとの取引に係る債権を承継するにとどまらず、債務についても全て引き受ける旨を合意したと解するのが相当である。
- Yは、国内の消費者金融子会社の再編を目的として、Aの貸金業を廃止し、これをYに移行、集約するために、Aとの間で業務提携契約を締結し、同契約において、Aが顧客に対して負担する過払金債務等一切の債務をYが併存的に引き受けることや、Aと顧客との間の債権債務に関する紛争について、Yが、単にその申出窓口になるにとどまらず、その処理についても引き受けることとし、その旨を周知することを、それぞれ定めた。
- Yは、上記業務提携契約を前提として、Xに対し、上記基本契約を締結するのはYのグループ会社再編に伴うものであることや、Aとの取引に係る紛争等の窓口が今後Yになることなどが記載された書面を示して、Yとの間で上記基本契約を締結することを勧誘した。
- Xは、Yの上記勧誘に応じ、上記書面に署名してYに差し入れた。
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解説 |
平成23年9月30日 最高裁判所第二小法廷 平成23(受)516の争点や結論に関する解説 |